本日の降水確率0%
用具室の裏側の軒下に廻ると、私はその場にしゃがみ込んで空を見上げた。

灰色の空から、たくさんの雨粒が地上めがけて降り注ぐ。

 涙で濡れた顔を手でぬぐうと、深く息を吐いてうつむいた。

 コンクリートに両膝を抱えて座ると、私は瞼を閉じて雨音に耳を傾ける。

 雨女と言われてショックだった。


 面と向かって言われるのは、陰で言われるよりもっと辛い。

 ううん、そうじゃない。

 川端くんに言われたから、余計ショックだった。

 好きな人に言われるのが、これほど苦しいなんて思わなかったよ。

 言葉が耳から離れなくて、



――熊谷って雨女なの?



 その一言に再び目頭が熱くなり、瞼にジワリと涙が浮かんだ。

 なおも雨は地面へ降り、小さな水溜りを幾つも作っていく。

 大地を打つ雨の音に混じって、小さな声が聞こえたけれど、どうでも良かった。
 
 気持ちが落ち着くまで降ればいい。

 そう思っていたのに、

「熊谷」

 と呼ぶ声に、私は反応してしまった。

 顔をあげると、川端くんが隣に立っていて、 こちらを見ていた。
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