もしも愛が嘘ならば
『…ん?』
不思議そうに声を漏らした先生を見ると、
自動販売機でココアとコーヒーを買っていた。
「あ…あ…ぎゃぁあああ!…んぐっ」
『ここ病院だから叫ぶなや』
わたしの口を手で塞いだ先生。
どんどん熱くなるわたしの顔。
絶対真っ赤に違いない。
『俺が怒ったって勘違いしたの?』
「や…もー…恥ずかしいから、聞いてこないで」
すぐに先生の手から逃れると、自分の病室へ歩き進めた。
『ちょ、待って。あげる』
宙に浮いたココアが、回転しながら
わたしのもとに落ちてくる。