もしも愛が嘘ならば
『まーいいや。…病室に戻ろっか』
そのまま手を引いて、わたしの前を歩く先生。
「…ねぇ」
少し手に力を入れて、先生を呼び止める。
首をかしげた先生は
わたしに優しく笑ってみせた。
「先生、よろしくお願いします」
きちんと笑えてるか、分からない。
きちんと伝わったか、分からない。
『なに?改まっちゃって』
けれども、助けてほしいって。
嘘じゃなく。偽りじゃなく。
―――…心から、思ったの。