もしも愛が嘘ならば
「早く戻ろー」
腕を大きく振りながら、そそくさと廊下を歩いた。
『梓、今日はもう寝れば?』
「…なんで?」
病室に着いた瞬間にそう言う先生。
『目、真っ赤』
「え?嘘」
『ホント。鏡見てみ?』
部屋にある鏡を指差した先生の言う通り、
わたしの目は真っ赤だった。
『眠いんでしょ?無理は駄目だから。絶対』
急に医者らしくなった先生は、改めて大人に見える。
「んー、寝ます」
腕を伸ばして、布団を体に掛けた。
『おやすみ』