もしも愛が嘘ならば



「…なんですか?」



首を傾げて聞き返す。


『もう、敬語止めてほしい』


「え…?」



静かにソファーに腰掛けた海堂くん。

わたしはその場から動かなかった。


『…不安になるよ?俺だって』



手首を引っ張られて、海堂くんの隣に座らせられる。



『先生にはタメで、俺は敬語』


「あ…っ…すいません」


『仮にも婚約者でしょ?』


優しく髪に触れる指。


『でも、婚約者じゃなくたって…』


ニコッと笑う彼。


胸がズンと重くなった。


『あずのこと好きだよ』


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