もしも愛が嘘ならば



「…触んないで」


弱く吐いたこの言葉に、先生が反応するはずがない。



『涙目で訴えても無意味』


「…やっ…触んなっ!」


先生の手に爪を立てる。



『そうゆうとこも』


「…っ…」


『全部、壊したくなる』



重ならない唇は冷たくて。



『なんてね、嘘だけど』


乾いた笑顔は、いらない涙を引き寄せた。


< 39 / 59 >

この作品をシェア

pagetop