もしも愛が嘘ならば
「もっ…意味わかんない…っ」
近くにあったコップを、無我夢中で投げつける。
奇妙な音はわたしの心を掻き乱した。
『ちょっ…やめっ…おい』
コップの破片が先生の手に当たって、真っ赤な血が流れ落ちる。
「…っ…」
それを見つめるわたしの体を、そっと抱きしめる大きな存在。
背中に回された腕は温かくて。
…そう、その優しさが理解できない。
「せんせっ…なに考えてるの?」
足の力が抜けて、その場に座り込んだわたしを放すことなく抱きしめる。
『なにが?』
「先生の気持ちが…っ…わかんない」