もしも愛が嘘ならば
「…綺麗」
不意に出た言葉に恥ずかしさを覚えながら、また黒猫へと視線を戻す。
『…お姫様のほうが綺麗だけどね』
「別にアンタのこと言ったわけじゃない」
『じゃ、なんのこと?あと、アンタじゃなくて先生ね』
顔を下に向けようとするけど、先生はそれを許してはくれなかった。
『白い肌』
わたしの頬を触る。
『大きな目』
けれどそれ以上は触らない。
『真っ赤な唇。…みんな噂してるよ』
顔が熱い。すごく、すごく。
『美少女がいるってね』
先生は優しく微笑むと、また口を開いた。
『だから、その美少女を助けようと思ってさ』