スキトキメイテキス【BL】
 
 1ヶ月ほど経ってバイトに慣れた頃、僕は妹にアイツのことを教えてやることにした。


『水野さんの好きなものは……』

『好きなものは!?』

『多分、チョコレート』


 新メニューを考えてるだけかもしれないけど、ふと気付くとチョコレートをかじっている。

 それから……。


『水野さんは……』

『水野さんはっ!?』

『S気質で俺様』

『なにそれ。ウソつかないでよ』

『嘘じゃないよ』

『あんな美味しくて可愛いケーキ作る人がSで俺様なわけないでしょ! 適当なこと言わないでよ』

『そんなことないよ。しょっちゅう僕のことバカにして楽しんで……』

『そんなのお兄ちゃんが鈍クサイからじゃないのっ!?』

『…………!!』


 今思い出しても傷付く台詞。

 もしかして僕、妹にいつもそんな風に思われていたんだろうか。

 売り言葉に買い言葉……だったらいいけど。


 そんなこんなで。

 妹からの何気ない一言にショックを受けた僕は、俺様水野に勝手な敵対心を抱くようになっていた。
 





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