スキトキメイテキス【BL】
思えば、アイツの印象は初めから悪かった。
言われた通り履歴書を書いて持っていけば、大して目も通さずにただ一言。
『好きなケーキは?』
適当に答えたのはバレなかったみたいだけど、そのあと数分仕事内容の説明を受け──
『──明日から来い』
面接終了!
妹が買ってきてくれたケーキは、今まで食べた中で一番、と思えるほど美味しかった。
嫌な甘さは全然無くて、男の僕でも思わずもう一個、と手を伸ばしたくなるくらい。
だから、こんなに美味しいケーキを作っている人は、人間としても完璧なんじゃないかと心のどこかで思ってしまっていたんだ。
水野久史という1人のパティシエに、勝手な期待感を抱いていた。