同棲彼氏

台風での出会い

うん、初めて会ったのは確かに台風の日だった。



レインコートを着ていた私は考え事をしていて前を見ていなかったから、お洒落な彼とぶつかり、彼の高い服を濡らしてしまった。



私は「すみません」と謝った。



だけど、彼は怒った。



それは当たり前だろう。




全部でいくらするかわからないくらい高い彼の大事な服を濡らして・・・更に、汚してしまったんだから。



怒った彼は、服を買うのを付き合えと言った。



今日は仕事もないし、せめてもの償いだ、というわけでｏｋした。



本当は、こんな寒い台風の日だから、帰ったらお風呂にでも入って体全身を温めようと思ったのだが、それはあっけなく失敗に終わった。



まぁ、私が悪いんだけどね。


彼はしばらく歩いてから高そうな店を見つけて中に、ためらいもせず入った。



私は少しためらいがちに店に入る。



「よう、真湖斗か。台風だから客が入らんでしょうがねぇ」
「じゃ、全身フルで買ってやるよ」
「マジで!?ありがてぇー」



中では彼が店の人と話していた。



「あれ、この子真湖斗の新しい彼女かー？」



お店の人は、私を見て彼に聞いた。



彼は、どうやら真湖斗(ﾏｺﾄ)という名前らしい。



「ちげーよ。彼女と別れた次の日に、新しい別の彼女作るとか俺どんだけ遊び人・・・」



真湖斗はげっそりした感じで言う。



私はひきつるしかない。



「ちょっと待ってろ」



真湖斗は私にそう言って服選びをしに行った。



初対面でタメグチってどうなの!?



「お前、これ持ってろ」



真湖斗は私に服を渡してまた選びに行った。


人使いが荒い・・・。



「試着すっから服渡せ」



真湖斗は私の手から服を取った。そして、試着室の中に入っていった。



試着室から出てきた彼は、最高にかっこよかった。



「いい！いいですねー！」



私は真湖斗を大絶賛。さっきの真湖斗もかっこよかったけど、今はもっとかっこいい。

「お前も選べ」

「はい？」

「時間がねぇ。急げ」



わけもわからず、真湖斗に言われるがままに服を選んだ。