同棲彼氏
「旦那さん!旦那さん!」



看護士に叩かれて目が覚めた。



「奥さん、分娩室行きましたよ!」



奥さんとか言われてニヤける俺。



・・・って、そうじゃなーい!



今、分娩室って言った!?



もうすぐ産まれるわけ?



俺の子供が?



だったら、【旦那】の俺が行かないとな。




看護士に言われた分娩室に行くと、凄い汗をかいてうめいてる優美。



「寝てんじゃねーよ」



うわっ。今の、優美?



「マジ手貸してくんさい・・・」

「はい」



手を優美に出すと、凄い力でつかむ優美。



痛いけど、優美の陣痛の方が痛いだろ。



「もう産むからね?産むよ?」

「はいはい」



看護士さんは呆れた顔をしてる。



「さっきから、ずっと『産むからね?産むよ?』って言ってるんです」



看護士さんが俺に耳打ちしてくれた。



そして――

俺が少し目をそらしていた空きに、優美は子供を産んだ。

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