あの娘
全クラスを見て回ったが、例のあの子は見当たらなかった。
「枢、本当にいるのかよ、可愛い子ちゃん」
「いるはずだよ…昨日いたし、同じ学年色のリボンしてたし…」
「枢…まぼろしを見たのさ。その可愛い子ちゃんのことは忘れろ」
結城は俺の肩をぽんぽんと叩いて教室の方向に進む。
俺も結城の後ろを付いていこうとすると急に結城は立ち止まった。
見事に俺は結城の頭に自分の頭をぶつけてしまった。
結城も俺も軽く頭を抑えた。
「痛ってぇ…いきなり止まるなよ!」
「だって…顧問に聞けば早い話だと思ったから…てかお前かなり石頭…」
結城はまだ頭をさすっているが俺は早足に職員室へ向かう。
そうだ。顧問に聞けば早い話じゃないか!
結城にしては
まともな意見だった。