あの娘
そのあとの6時間目の理科は瀬戸さんでいっぱいだった。

どんな声で話すのか?
どんな性格なのか?
先生を呼ぶ声だけでは彼女のことは一つもわからない。

もっと近くであの笑顔をみたい。

そんなことばかり考えていると先生のげんこつが降り懸かった。

「いっ…てー!」

「少しは頭が授業にむいたか?」

「…すいませんでした」

回りのクラスメイトはくすくすと笑ったが結城の笑い方にはいらついた。

口パクで“うるさい”と伝えると結城は“瀬戸さん”と口パクし、最後に投げキッスをした。

こいつこんなキャラだったのだろうか?
俺はこれからあいつと一緒にいれるか一瞬不安になった。


「あ、次の授業までにP63の問1から6までやっておくこと。以上」


俺は宿題が出て落胆する前に休み時間がきたことに喜びで顔がにやけた。


「枢、行こうぜ!」

「え?」

再び結城の半強制的にD組に連れられた。


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