あの娘
再びD組を訪れて結城が里緒を呼んだ。

「里緒さん、どう?今いる?!」

里緒は友達の輪から離れ俺達の前で申し訳なさそうにした。

「…それが次の授業が瀬戸さん教科担当でクラスにいないんだ。また入れ違いっすね」

「里緒、悪いな。」

「別にいいよ、この人面白いから」

そういって里緒が結城を指差す。
人に指差すのはどうかと思うが率直な意見をだす里緒は嫌いではない。

「もしかして…瀬戸さんのこと好きなのって本当はこの人?」

里緒は誰にも聞こえないように声を小さくして言う。

違うよ、逆だよ。

「いや、違うよ」

「そうなの…よかった」

里緒はぽっと顔を赤らめて俺に言う。

おい、これってまさか…

「もしかして、お前…」

「あ、違うから。違うから!ね!わかってるよね、枢?」

「あ、はい」

俺は里緒の傍を離れて、結城に教室に戻ろうと声をかけた。

「またね、里緒さんっ♪」

結城が里緒に手を振ると里緒も手を振った。


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