禁断の恋
美恵と幹男の結婚生活は既に破綻状態にあり、会話は上辺だけでセックスも12年以上もない仮面夫婦だった。
そんな二人を娘の由美がかろうじて繋ぎ止めていた。
子供はかすがいとはよく言ったもので、娘の由美がいなければ美恵はとっくに幹男と離婚していたであろう。
でも娘が社会人になり経済的にも自立するか又は幸せな結婚をするまでは、美恵は自分さえ辛抱すればと今日までずっと我慢してきたのだった。
ところが、そんな我慢にも限界を超える出来事が起きてしまう。
幹男がスナックのホステスと浮気をしたあげく、その上に酔った勢いで美恵を殴り飛ばしたのだった。
その時、美恵の中で言いようのない怒りと哀しみが込み上げてきて、ガタガタと大きな音をたてて崩れ落ちていくものがあった。
その夜美恵は家を飛び出し、友達の家に一週間泊めて貰った。
その出来事があって以来、美恵と幹男の間にあった溝は益々広がっていった。
交わす言葉もほとんどなくなり、美恵は幹男の事を夫とは思わずただお金を稼いで来る同居人と割り切るようになった。