禁断の恋


美恵と康弘の旅はまるで短い逃避行のようでもあった。

ホテルには河原康弘と妻美恵の名前で予約をしていた。

美恵の夫や娘には女友達同士で旅行に行くと嘘をついていた。

ただ仲の良い女友達だけには本当の事を話してあったが、その女友達も家庭がありながら不倫関係にある男性がいた。

美恵の女友達にはそんな不倫している友達が4人もいた。

その内の一人は夫と離婚して5歳年下の彼氏と現在内縁関係。

一人はバツイチの男性と遠距離恋愛、もう一人は同じ職場で働く13歳も年下の独身男性、あと一人も医療関係に勤める13歳年下の独身男性がいた。

美恵と康弘は同い年だから、他人が見たら仲の良い夫婦としか見えなかった。

ホテルのフロントで記帳している時や仲居さんも美恵の事を「奥様」と呼んでいた。

そんな些細な出来事が美恵には嬉しかった。

美恵はそんな時、康弘が本当の夫だったらどんなに良かっただろうと、心の底から思うのであった。


(つづく…)


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