汚レ唄


私は堕ちてしまう。


深い深い闇の中へと。





──でも、この血がなくなれば、アナタは来てくれるでしょ?


──妹じゃないなら、私の元へ帰ってきてくれるでしょ?




だったら、私のすることは1つしかない。



『カチカチカチ』


カッターの刃を3枚だす。




そして、ゆっくりと左手首に押し付ける。


チクリと痛むけれど、でも平気だった。


帰って来てくれるって思ったら平気だった。




そのまま、ゆっくりと刃を動かし、私の左手首には一筋の線が刻まれた。


その線はゆっくりゆっくりと赤色に変わり、次第にドロリと血が垂れてきた。




綺麗な赤。


鮮やかな赤が流れてきたんだ。





「ふふふ……やった。あはは……あはははは!

……これで……これで!!」


これで!!これで私は妹じゃなくなるんだ。


これで、お兄ちゃんは私のところに帰ってきてくれる。




やった!!

すごく嬉しい。




真っ赤な血が垂れて雫が1滴、2滴と落ちた。


そんな時だった。



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