汚レ唄
── 利用 ──
目が覚めると、そこは何の変哲もない自分の部屋で、
ただ静かで冷たい空気が漂っていた。
いつの間にか眠ってた。
たくさん泣いたからかな?
頬がベトベトする。
手首にはティッシュが何重にも何重にも巻かれていた。
ゴミ箱付近に散乱するティッシュの山。
明らかに血がついてることがわかる。
「……どうしよう。コレ」
こんなの、ゴミを捨てるときにお母さんが気付いちゃうよ。
そしたら絶対ビックリするだろうな。
なんでだろう。
こんなことしたくせに、意外と冷静な自分に笑えた。
「とりあえず何かの袋にティッシュ全部入れておけば中身までは見ないか」
私は立ち上がるとティッシュの後片付けを始めた。
手首に巻かれたティッシュを1枚1枚はがし、丸めて袋に入れる。
最後の1枚は傷口とくっついていて、はがすのに時間がかかったけど、何とか全部処理できた。
ただ……くっついてたのを無理矢理はがしたせいで傷口にティッシュが細々とくっついてしまったけど。