汚レ唄
ずっと内に秘めていた気持ちを……ここにはいないアナタへと歌っても良いですか?
声に出して好きだと言ってもいいですか?
目の前を通り過ぎていく言葉たちを目で追いながら、今何をしているのかわからないアノ人へと想いをはせる。
アノ人の柔らかな笑み、意地悪な言葉を思い出しながら、アノ人を想って歌う愛の歌。
ただアナタを好きで
この気持ちの見返りなんて求めはしない
私はアナタが好き
ただそれだけなんだ
歌い終えると大輔君は閉じていた瞼をゆっくりと開けた。
瞼が開くと、キラキラと輝く瞳が私を見据えて、
「すっげぇーよ!本物の歌姫みてぇ!!」
と、まるでヒーローに助けられた子供のように興奮していた。