汚レ唄
── 待人 ──
━━━━━━━………
━━━━━━━━………
━━━━━━………
「陽菜ぁ~?途中まで一緒に帰ろう」
「うん」
昨日のことを那智は何も聞かない。
それはありがたい事だけど、でも、なんだか気まずさが残る。
私だけかもしれないけれど。
2人で階段を下り、下駄箱で靴を履き替える。
そして校門へ歩いていくと、何だか校門付近が騒がしい。
「アレ、何だろうね」
那智の言うアレは校門にできた人だかりのことだった。
「抜き打ち制服チェックとか?」
普通は朝、校門で生活指導の先生が制服をチェックすることが多い。
だから、みんな朝だけはスカートの折り目を元に戻したり、ネクタイをきちんと締めなおす。
そして、校門を潜り抜けてからスカートを折って短くし、ネクタイを軽く緩める。
それが朝の習慣だった。