汚レ唄

── 兄妹 ──





その日の放課後もやっぱり祐君はいつもの場所にいた。


いつものように電柱の傍に立っている。



あんなに来ないでと主張しても、次の日には笑顔でそこに立っている。




もう溜息しかでてこないや。

「……なんか、毎日祐君を見てる気がするよ」

「それは気のせいじゃないよ。愛の力さ」



祐君ってこんなキャラだったっけ?


毎日顔を合わせる度、新しい祐君に会ってる気がする。






だけど、
「本当に、もう……ここには来ないで。迷惑だから」

声が震えた。



兄一筋で生きていくと再び決めた私だから……

だから、キミは一緒に堕ちちゃダメなんだよ。


キミは私なんかじゃなく、誰か別の人を追いかけて。



散々利用して、本当に自分勝手だと思う。



だけどもう私は大丈夫だから。


平気だから。





「迷惑なの。嫌なの。だから来ないで」





「……嫌だ…よ」


それは搾り出すように掠れた声だった。
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