汚レ唄
電車の中で聞いた話では、ちょうど、私の降りる駅から更に3駅進んだところに祐君の家があるらしい。
つまりは……私が電車から降りるまで祐君と一緒ということで、なんとなく少しだけ気まずい思いを抱いていた。
私は少し、男の人が苦手だ。
だから女子校に入ったようなもんだし。
なんか、慣れないというか、興味ないというか……。
好きな人がいるから、その人以外の人はなんだか苦手。
とにかく苦手。
だけど、祐くんは特に苦手。
何でかわからないけど、苦手。
大輔君のようにガンガン話しかけてくれたらこっちも楽なんだけど、祐君はそんなタイプではない。
多分、祐君も気まずいと思ってると思う。だって、さっきから一言も話してないし。
早く駅に着け~……心の中で何度も繰り返す。
チラリと祐君を見ると眉間にしわ寄せ険しい表情。
やっぱり祐君も気まずいのかも。ごめんなさいね、こんな娘で。
そう思うのに、話の種すら見つけようとせず、ただぼんやりと外を眺めていた。
外は既に暗くて、ポツリポツリと家の明かりが点き始めていた。
それはまるで、星が地上に降ってきたようで、とても綺麗だった。