汚レ唄
「今日は色々疲れたでしょ??晩御飯食べてかない??よかったら、泊まってってもいいし」
お母さんの声。
あの人に向けた声。
なんで、あの人とご飯食べなきゃいけないのよ。
なんで、あの人が泊まってくの?
挨拶って何??
「陽菜も叔母さんになるんだな」
私が座ってる近くに来てポツリと呟くお父さん。
叔母さんって何言ってんの?
どういうことなのかわからない。
何も言えないでいると、お兄ちゃんまでも近くによってきてキラキラの笑顔で話し出す。
「陽菜、俺ら結婚することにしたんだ」
なんでだろう。
聞き流したいのに、こういう時に限って、耳に残る。
頭の奥に居ついて離れてくれそうもない。
「そ……うなんだ。急だね」
急でもないのかもしれないけれど、
前から決めてたことなのかもしれないけれど、
心の準備すら出来てない私に、それはきついよ。
「まぁ、急って言ったら急なんだけどさ。
恵のお腹に子どもができたんだ。
それがなかったら……やっぱりまだ結婚は考えられなかったかもしれないな」
とお兄ちゃんはニタニタと嬉しそうに笑っている。