汚レ唄
だけど、今はその笑顔ですら歪んで見える。
子供ができたって。子供ができたってことは……
叔母さんになるってそういうこと……
挨拶も……
できるだけ早くと急かす結婚式も……
みんながニコニコ笑ってる理由も……
全部子供がいるからなんだ。
「本当は、あの……コンビニでお菓子を買った日にわかってたんだ。子供が出来たってことは。
だけど、なかなか決心できなくて報告が今日になったんだけど」
あの日。
確かにお兄ちゃんの機嫌は尋常じゃないほど良かった。
だけど、それすらも、やっぱりあの人の力だったんだ。
私と一緒にいても、お兄ちゃんはそんな顔してくれない。
「陽菜ちゃん、これからよろしくね♪
男の子か女の子かはわからないけれど、生まれたら、一杯かわいがってあげて」
私の席に座るあの人の声。
やめて。
あなたの声なんか聞きたくないのに。
「叔母さんって。その年で叔母さんって、なんか笑えるな」
お兄ちゃんの笑い声もあの人の笑った声も全部全部……
全部全部全部……
「……さい」
うるさい
うるさい
うるさい
「うるさいうるさいうるさいうるさい!!!!」