汚レ唄
「陽菜??」
お兄ちゃんの心配そうな顔。
私はそんな顔しかさせてあげられないんだね。
胸の奥がキュッと痛む。
私は、好きな人を困らせることしかできない。
だけど、
だけど、
今はそんなこと考えられない。
口が勝手に動いてしまう。
「何が結婚だよ?!何が子供だ!!ふざけんなよ!!ざっけんな!!
お前らみんなおかしいんじゃね?
あの人の腹に子供がいんだよ?
なんで笑ってられんだよ!!普通じゃねーよ!!
可愛がってやれって?!
やるだけやって出来た子供なんか誰がかわいがるか!!!」
腹に溜まった気持ちを言い終えた瞬間、右頬に痛みが走った。
ジンジン痛み、熱を帯びてくる。
「ったぁ!!何すんだよ!!!!」
頬を叩いたのはお父さん。
目の前にはお父さんが目をつり上げて立っていた。
「なに言ってんだ!!あの人とか、普通じゃないとか!!!謝りなさい!!!!!」
こんなに怒ったお父さん、今まで見たことなかった。
「説教してんじゃねーよ!!!!!」
叩かれたのが痛くて苦しくて、思わずお父さんを蹴飛ばしてリビングをとびだした。