汚レ唄
《━━……次はぁ〜、××〜。
××〜……━━━━》
もうすぐ、私が降りる駅だ。
「……っあ!あの!!」
「?」
声の持ち主はもちろん祐君だった。
あの!!から言葉が続いてこない。
少し苛立ちを感じながら、祐君を見、
「なに?」
と聞き返す。
と、今まで俯いていた顔を一気に上げ、空いた座席を指差した。
「?だから、何?」
「どうぞ……」
あ~……空いたから座ったら?ってことか。
だったらそう言えば良いのに。
「ふふっ。ありがと。でも、もうすぐ降りるから、祐君が座りなよ」
「いや、いいです。陽菜ちゃんが降りてから座ります」
祐君の不器用さに何だか笑えた。
悪い意味じゃなくて、何ていうか、可愛らしい意味で。
「…………」
再び流れる沈黙。
でも、今度はすぐに破れた。
だって、次が私の降りる駅だから。
沈黙を破ったのは祐君だけど。
「あっ!あの…」
「なに?」