汚レ唄
こくんと頷くだけの私に、
「僕ん家、すぐそこだから」
とエスコートしてくれるキミ。
それでも少し足元がふらつく私の肩を支えてゆっくり歩いてくれる。
幸せってこういうことなのかもしれない。
2人並んで歩いて、どちらかが倒れそうな時は、片方が支えて立つ。
それができることが幸せなのかもしれない。
常に隣にいて支えてくれる。
それを幸せっていうのかもしれない。
通り過ぎるパン屋さんも、月極駐車場も、歩いていくうちに目がかすみ、よく見えなくなっていった。
それは白くもやがかったような景色。
私の想像する天国に近いのかもしれない。
「ここ。僕の家」
立ち止まったその先に見えた家はお世辞にも綺麗だとか大きいとかいえないけれど。
門にたくさんの花が咲いている可愛い家。
ここで祐君が育ったんだね。
この可愛い花たちに囲まれて、キミは生活していたんだね。
この花たちを見てると、キミが優しい理由がわかった気がしたよ。