汚レ唄
「陽菜ちゃんもケンカするんだね。なんか意外」
ベッドに腰掛けて座る祐君。
床に座る私は自然と見上げる形になってしまう。
「意外かな?」
「うん。意外。陽菜ちゃんってなんかずっと笑ってる感じだから」
「それは……」
それは祐君だよ。
いつも笑ってるイメージがなのは祐君の方。
「なんでケンカしたの?」
「それは……お兄ちゃんが結婚するって……。
だから私……
っひっく……っく」
変なの。
なんでこんなに素直に話せるんだろう。
こんなこと初めてだ。
祐君はただ、私が話すのを黙って待ってくれて、
「うん……うん……」
って話をちゃんと聞いてくれる。
すごく、キミはあったかい。
「……なんでだろう…。
涙が溢れて……っく。……っひく」
キミといれば、頬を伝う涙すら温かく感じる。
あふれ出す涙を必死で右手で拭い、抑えようとするのに止まらない。
「…………ひっく…………う〜……」
「大丈夫だよ、陽菜ちゃん。ちゃんと僕はここにいるから」
祐君はティッシュを私の目の下に当てて、流れる涙を拭いてくれた。