汚レ唄
何事にも我関せず、の兄。
「……あれ、彼氏?」
「へ?」
「一緒にいた奴。彼氏?」
妙にニヤニヤとして笑いを堪えているような兄。
「んなわけないでしょ」
なんだか、またイライラが募る。
彼氏じゃないって言ってるのに、絶対信じてない。
顔を見ればわかる。
「お前にもついに彼氏ができたか」
「だから、違うって!!」
「はいはい」
暗い暗い夜道の中、たくさんいた人がいつの間にかいなくなり、虫の音 草の音 すべてが私たちの邪魔をしないようにボリュームを落とす。
静まり返ったいつもの通学路には私たち2人だけの足音が虚しく響いた。