汚レ唄

もしかしたら、祐君も、祐君のお父さんも、それを考えて車で送ってくれたのかもしれない。


何時間もかけて……。








「なにやってんだろ。私は」


体にまとわりつく泡を洗い流し、再び湯船につかる。







多くの人を巻き込んだ。

多くの人に迷惑をかけた。




それでやっと気付く。


1人じゃないこと。

支えてくれる人が自分にはいたことを。




何年かかるかわからない。

だけど、断ち切らなきゃいけない想いがある。




誰もが想えば叶う恋などない。

叶うものもあれば、叶うことのない恋だってある。


だけど、その度に立ち止まって、泣いて……支えてもらってまた歩き出す。





それが恋なんだ。






そして、支えてくれた人が壁にぶつかった時は、その時は、私がその人を支える。








たとえ、私の中から恋しい人を失ったとしても、

恋しい気持ちを消さなくちゃいけなくなったとしても。





それでも1歩1歩前に進んでいく。


進まなきゃいけない。




それが、あなたのためになるんでしょ、お兄ちゃん。





ブクブクブクブク……



ブクブクブクブク……



頑張るよ、私。



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