汚レ唄
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四角い箱の中に映る彼女は笑顔で唄う。
『純粋に想いを伝えたい』と願いを込めて。
その日も彼女は唄っていた。
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長年愛用したテレビがついに息絶えた。
今までは、突然ザーザーと砂嵐を巻き起こしたり、勝手に電源が『ブツッ』と音を立てて切れたりと、テレビはテレビなりに寿命がくることを知らせていたが、私たちはその事実を無視をし続け、毎日テレビをつけていた。
が、最期は呆気なくやってきた。
なんとなく見ていた通信販売の、ちょうど値段を言うところ……
『……この便利グッズ!お値段なんと……9せ……!!』
のところで今までとは比べものにならないくらい豪快な『ブツッ!!』という音を立てて切れた。
かなり気になるじゃないか。
それからは電源を押しても再び電源が入り、気になる商品の値段を言うこともなく……13年間ここにいたという抜け殻のような形だけがその場に残った。