汚レ唄
「だから、ずっと言いたかったんだ。
あの時、あの場所で、陽菜ちゃんに会えて本当によかった。
“ありがとう”」
“ あ り が と う ”
その言葉があったかい。
「わたし、何もしてないよ」
俯きながら答える私に、祐君は、
「さっきの俺と同じ事言ってる」
と笑い出す。
そうして笑うキミを見てると、こっちまでなんだか楽しくなるのはなんでだろうね?
「気持ちが伝染していくみたい」
なんだろう?
なんかそんな気がしたんだ。
キミが笑っていれば、私も笑いたくなるの。
キミが悲しんでいたら、私も悲しくなる。
キミの気持ちが私に伝染していくみたいに、キミは私の中に入り込んでいくんだ。
「伝染?どういうこと??」
首をかしげる祐君を笑いながら、なんでもないと返事をする。
それでも、首を左右に揺らすキミが本当に可愛く見えた。
キミは私の光だったんだ。
一筋の光だった。
キミの存在が私の道を照らしてくれた。
キミがいたから、私はここにいるんだね。