汚レ唄
── 前奏 ──
──── 数日後……
お兄ちゃんは、恵さんのご両親に挨拶に行った。
慣れないスーツを着て、髪型にも気を使って、似合わない格好をして出て行く兄の後姿をじっと見てた。
この気持ちは……何だろう。
悲しさ?
寂しさ?
切なさ?
どれも当てはまらなくて、だけど、なんだろう。
清々しいんだけど、どこか冷めてるような。
そんな感じだった。
挨拶にいった結果、2人は今年の春に結婚式を挙げることになった。
それが決まった夜、私は2人に「おめでとう」と笑顔で言った。
笑顔が作れていたかどうかはわかんないけど、きっと笑顔だったと思う。
というか、笑顔で言えたと信じたい。