汚レ唄
── 過ち 《麻緋》──
その部屋は真っ暗闇で、開きっぱなしのカーテンから差し込む月の光だけが、唯一の光だった。
部屋の隅にあるベッド。
ベッドのすぐ傍に窓。
そのベッドに今、私は押し倒されている。
ふわりと香るカレの香り。
押し倒されたまま、隣を見ると、床にカレの服が散乱している。
「こっち……見てよ」
優しく顔を両手で包み込まれ、また背に光を浴びるカレへと視線を戻す。
こんなのダメなのに。
甘く囁く吐息が思考を鈍らせる。
甘い甘い麻薬のよう。
脳がとろけていく。
ダメだって、分かってるのに、
なのにカレを突き飛ばすことも、拒むことも出来ないのは、カレのことを愛しているから。
たとえ、カレが酔っているからって、
たとえ、カレが私を彼女と間違えているからって、
それでも、ずっと想い続けてきたカレだから、イケナイことだってわかってるけど、許してしまう。
心がカレを求めてしまう。
1晩だけ……
彼女のように私を愛して……。
私を彼女と思って抱いて。