汚レ唄


空を見上げると、真っ暗な黒にボンヤリと光る月が見えた。





カレの吐息、

温もり、

優しさ

全てを……私は決して忘れないでしょう。





今日の出来事は決して忘れない。



秋風を体に浴びて、でも、消えることのない熱が体の中に残ってる。




今でてきたばかりのマンションをゆっくりと見上げた。


私が閉めたカーテン。




カレは今日のことを覚えていないだろう。



それは寂しいことだけど、仕方ないこと。



「ふー」

息を吐き出して、ゆっくりと歩き出した。



ヒールの足音がやけに響く。












今日、私は……私たちは、禁忌を犯した。



< 259 / 665 >

この作品をシェア

pagetop