汚レ唄
空を見上げると、真っ暗な黒にボンヤリと光る月が見えた。
カレの吐息、
温もり、
優しさ
全てを……私は決して忘れないでしょう。
今日の出来事は決して忘れない。
秋風を体に浴びて、でも、消えることのない熱が体の中に残ってる。
今でてきたばかりのマンションをゆっくりと見上げた。
私が閉めたカーテン。
カレは今日のことを覚えていないだろう。
それは寂しいことだけど、仕方ないこと。
「ふー」
息を吐き出して、ゆっくりと歩き出した。
ヒールの足音がやけに響く。
今日、私は……私たちは、禁忌を犯した。