汚レ唄
── 仲間 《麻緋》──
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「はい。オッケーです」
スタジオ中に響き渡る大きな声……。
そして、その大きな声を合図にたくさんの人が動き回る。
いつ見ても変な光景。
だけど、この変な光景の見れる、この世界はいつだって私の憧れだった。
「お疲れさん♪」
背後からニョキっと肩に手を回され、隣にやってきた男をチラリと横目で確認する。
「……拓斗(たくと)、重いって」
回された腕を冷たく振りほどく。
たくさんの人がいるっていうのに、肩に手を回すとか……正直やめて欲しい。
だって、誰が見てるかわからないし、噂にでもなったら大変だし。
「相変わらず、その顔の時は冷たいのね、麻緋ちゃんは」
行き場のない腕を見ては、大袈裟に溜息をつく拓斗の頭を静(せい)が叩く。
「ばーか!仕事中は本名呼び合うなって岩井ちゃんにも言われてるだろーが」