汚レ唄
「いってぇ!!
でもさぁ、本当の名前知ってんのに、芸名でお互い呼び合うなんて、恥ずかしくねぇ?!
なんつーか、人の日記を隠れて読むようなこっぱずかしさがあるんだけど」
叩かれた頭をさすり、固めてもらった髪がグシャグシャっと乱れ長い指に髪が絡まりついて悪戦苦闘する拓斗。
そして、そんな拓斗の髪を後ろから直そうと試みる則彦(のりひこ)。
「あ〜、拓斗、動かないでぇ」
そんな彼らを置いて、楽屋へと帰ろうと歩き出す私とそれを合図に私の後ろを歩く3人。
協調性があるんだか、ないんだか。
「いい加減慣れろって。この世界入って何年目だよ」
「「「……4年目?」」」
私、拓斗、則彦の声がハモッた。
ハモッたことに驚いて後ろを振り返ると、拓斗も則彦も同じように目を見開いて驚いて
「きっしょ〜」
と笑い合う。
「……まぁ、4年目であってるんだけど。だからっ…………って、俺、今何言おうとしてたんだろう」
頭を抱え込む静を見て、
「まぁ、がんばろうや。リーダー」
と背中を軽く叩く拓斗。