汚レ唄
こんなに至近距離にいることも、
こんな状況も全てが俺にとってはチャンス。
手に入れたかったものがやっと手に入るかもしれないんだ。
手段なんか選ばない。
もっと、もっと俺のことだけを考えればいい。
俺のことしか見れなくなればいい。
そうすれば、俺の気持ちもやっと報われる。
力を入れて、浮かせていた体を再びベッドに沈ませる。
逃げる途中だった麻緋は、逃げ切れずにまた、俺の下でもがいている。
「っちょっと?!蒼?羽香ちゃんと間違えてんの??」
間違えるわけないのに。
間違えたことなんて1度もないのに。
バカだな。
誰と付き合ったっていつだって心の中にお前がいてさ。
誰を抱いたってお前のことだけ考えてたんだ。
そんな俺が間違うわけないだろ?
肘に力を入れて、至近距離で今度はちゃんと麻緋の顔を伺う。
大きくて濡れた瞳がゆらゆらと揺れて、プルプルと気持ちよさそうな唇が半開きになっていた。
俺が怖い?
逃げたい?
逃がしてやんねーよ。