汚レ唄
そう、あれは私がまだ小学校の低学年だった。
その頃は、お父さんもお母さんも仕事をしていて、私は家に帰るといつも1人でリビングでテレビを見ていた。
時代劇から教育テレビから、お子様向けのテレビまで……何でも見ていて、お兄ちゃんの帰りをいつも待っていたんだ。
何分でも何時間でも……ずっと待っていた。
お兄ちゃんが帰ってくるとすごく嬉しくて、玄関まで迎えに行っては腕を引いて早く遊んでとせがんでいた。
お兄ちゃんはそんな私の頭の上に優しく手を乗せると「ただいま」と笑っていた。
お母さんが帰ってくるまでのお兄ちゃんと2人だけの時間というのは当時の私にとっては楽しくて嬉しくてしょうがなかった。
たとえ、お兄ちゃんを待つ時間が増えるにしても、学校から家まで走って帰った。
早くお兄ちゃんと遊びたかったんだ。
お兄ちゃんは色んな遊び道具を牛乳パックなどで作っては「すごいだろ?」と言って私にくれた。