汚レ唄
「どんだけ麻緋まみれなんだよ、俺は……」
小さい頃から一緒にいて、同じ時間を誰よりも共に過ごした。
この気持ちが恋だと気付いたのはいつだったか……。
「あっ!蒼、休憩行っていいよ」
店に戻ると爽やかな笑顔を振りまく店長が声をかけてくれた。
奥にあるスタッフルームに顔を出すと、そこにいたのは羽香だった。
さっき奥に入っていったのは休憩だったのか。
羽香は俺に気づくと眺めていた携帯をカバンの中へと放り込んだ。
「あっ!蒼!!どうだった?クレームとかなかった?」
キシシと笑う羽香を見て自然と漏れる溜息。
「なんだよ、それ」
「だって、あの時の蒼の顔ときたら……プフフフフ、アハハハハハ」
机の上をバンバンと叩いて笑いまくる姿を見て、なんだか急に恥ずかしくなる。
「そんなに笑うなって」
笑い続ける羽香の頭を軽くコツンと叩いて近くにあった椅子に腰掛ける。
「だって!!プハハハ!!!あの慌てよう!!っ最高!!!」
「……もういい」
ロッカーの中からコンビニで買ったパンを取り出し食べだした。