汚レ唄
「そりゃ、私でしょ?私のほうがしっかりしてるし」
「年齢だったら俺が上じゃん」
「私は精神年齢が上だから」
「は?」
「そうやって、すぐ不機嫌になる。そういうところがお子ちゃまなんだって」
…………言い返せねぇ。
羽香はゴミ箱にコンビニの袋を突っ込むと、小さな声で呟いた。
「私は、この選択が間違ってたなんて思わない。これでよかったんだと思う。だから、蒼とも楽しく話せる。
蒼もそうでしょ?」
羽香は振り返ってこちらを見て、営業スマイルを見せた。
まぁ、確かに羽香のいうことも分かる。
俺もこうしていつもと変わりなく話せるのは、きっと、元が恋人というよりもキョウダイに近い関係だったから。
相手の行動1つ1つにときめくというよりも、共に楽しむ方が多かったから。
「……そうだな」
それだけ言ってまたパンをかじった。
「じゃ、私休憩終わったから行くね」
「おー」
羽香を見送り、パンを食べ終えてからタバコに火をつけた。