汚レ唄
窓を開けて煙で遊ぶ。
青い空にふよふよと上っていくドーナツ型の煙。
空に吸い込まれていくように……。
「そうだ……」
空を見ていると、ふいに思い浮かんだのは麻緋の顔だった。
そーっと店に戻り、さっきお客様が見ていた雑誌を探す。
MUSIC EVER……
高校時代から読んでいた雑誌だ。
そんな昔から読み親しんでいた雑誌に麻緋が載っていた。
「どこだ〜??」
いくら探してもMUSIC EVERがない。
「探し物はこれですかい?」
後ろから声をかけられる。
声だけでわかる。
「……羽〜香ぁ?」
「フフフ。来ると思った」
羽香は右手に雑誌を持って腕を組んでいた。
「お前なぁ〜、早く渡せって!!店長にばれちゃうから!!」
勿論俺らの会話は店にでた時点で小声。
貼り付いた営業スマイル。
ニコニコニコニコ笑ってっけど、本当はかなり戦闘体制だ。
「お前、早く渡せって」
「これはお客様が読むものですよ」
「わかってっけど!!休憩中は暇なんだよ」
「ほんとにそれだけですか〜?」