汚レ唄
── 再会 《麻緋》 ──
元気のないあたしに気遣ってか……静がみんなで飲みに行こうと誘ってくれた。
休憩に入る度に、携帯を見ては溜息……。
携帯を見て、メールを問い合わせては溜息。
その繰り返しだった。
昨夜のことが忘れられなくて……。
だけど、自分からメールを送ることも出来なくて……。
何かしたいのに、何も出来ない自分が嫌になった。
たとえ、蒼が酔った勢いであたしを抱いたとしても。
左胸に残された赤い痕が蒼の存在を大きくした。
この痕が消えることのない痕になればいいのに。
左胸にそっと手をやった。
家に帰ってシャワーを浴びたとき……初めて、この痕に気付いた。
その時トクリトクリと胸が熱くなっていった。
そんな関係になれないあたしたちだから。
だからこそ、合意のものでないとしても、あたしはそれでもよかった。