汚レ唄
案内されたのは8畳ほどのお座敷だった。
SAMURaiともなると、自然と個室に連れて行かれるらしい。
座敷に着くまでにすれ違った店員たちの好奇の眼差しを感じる。
と、同時にお前誰だよ的な視線も感じる。
麻緋は化粧を落としていたもんだから、
「あの人マネージャーかな?」
「TSUBASAいないねぇ」
と言う不服の声すら聞こえてくる。
……アホくさ。
キミたちが言ってるマネージャーはこのオネェ言葉のおっさんですよ?!
あんたたちの目の前にTSUBASAちゃんがいるんですよ?
「おう!!蒼はココに座れ」
拓斗さんに指定されたのは、拓斗さんの隣。
まだまだ、いじられるらしい。
目の前には麻緋。
俯きがちな麻緋。
やっぱり昨日のことを気にしてんのかなぁ。
……会ってまた更に後悔した。
心の奥にもやっと黒いものが渦巻いていく。
「……何だこれ?」
「え??」
拓斗さんが手にしたのは紛れもない、俺のコンビニ袋。
お菓子と雑誌の入った袋だった。