汚レ唄
ていうか、羽香にお菓子を渡すの忘れていた。
「お前、こんな乙女チックなもん食うの?!ぎゃはは!!」
腹を抱えて笑う拓斗さんの持つお菓子を乱暴に奪い、カバンの中に詰め込んだ。
「これは……さっきの子のものなんですよ」
弁解するようにぽつりと呟くと、拓斗さんは表情一変!!
いきなりキラリと瞳を輝かしだした。
それと、目の端に悲しそうに眉をたらす麻緋の姿が入った。
「そういえばよ!!さっきの女の子は彼女か?」
びくっと肩を震わす麻緋。
「元!!彼女ですよ」
「元?のわりに腕とか組んでなかった?」
う〜わ。
拓斗さんって本当、よく見てるなぁ。
チラリと麻緋のほうを見ると、依然として眉をたらしている。
「それでも別れたんですってば。きっぱりと振られたんです」
肩をすくめて溜息混じりに呟くと店に入ってから口を開かなかった麻緋が口を挟んできた。
「別れたのに、腕組んで歩くなんて変だよ」
「それは……あいつが勝手に」