汚レ唄

「まぁまぁ……」


拓斗さんが静さんの肩に腕をまわす。

なんか扱いに慣れているような感じがした。






「お前はいいよな!!すっげー有名人からの名前だし」


「はいはい、でもそこは社長の独断だからさ」


「社長がな……だから何も言えずに今まで来たわけだけどさ。
どう考えてもやっぱおかしいでしょ?!」


グビグビといい音を鳴らして飲んでいく静さん。


その高く傾けられたグラスに映る、奥にいる麻緋の顔は、なんだか心配事があるかのような不安げな顔だった。




「じゃあ、TSUBASAって何からとったんですか?」


その一言はメンバー全員の動きをぴったりと止めた。


「あ〜……TSUBASAはな」

「ちょっと!!やめてってば」

麻緋の声を無視して拓斗さんが話を続ける。



「TSUBASAは特別なんだよな。社長なんかTSUBASAの声に惚れたもんだからとにかくTSUBASAに甘いわけよ」



は〜……。
そういうもんなんだ。


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