汚レ唄
「元から、気持ちなんてなかったから」
「だったら付き合うわけないじゃん。好きだから付き合ったんでしょ?」
「……まぁ〜そうだけどさ〜」
「だったら、まだ羽香ちゃんの気持ちがある内に元サヤに戻ればいいじゃん」
両想いだから戻ればいいんだよ。
簡単な話じゃない。
蒼が戻る気ないと言うなら、私は期待してしまう。
どうせ、その期待さえもグチャグチャに潰されるのなら、元から期待なんてせずにいたいだけなんだよ。
「ってか、なんで麻緋がそんなムキになってんの?今まで、そこまで気にしてなかったじゃねーかよ」
「……それは……」
傷が深くなる前に、私の期待を根こそぎ摘み取って欲しいんだ。
どうせ消えてしまう期待なら、
消すのは蒼がいい。
蒼に消して欲しい。
期待を消すことが傷を作ることになるなら、
蒼がいい。
蒼に傷をつけて欲しい。
蒼になら、傷つけられたいの。