汚レ唄


「あ〜。それ、俺も思った。なにが侍時代の有名人から取りました。だよなぁ」


雑誌をペラペラめくる静の眉はひどくシワよっていた。

濃いコーヒーを飲んだときにも静は眉間にシワを寄せる。

それと同じように不機嫌なときはシワを寄せた。



なんのことかわからない蒼は軽く首をひねる。


「お前、まだ読んでない?」

そんな蒼に気付いた静はニッコリと微笑んで雑誌を蒼に向け、あるページの1部に指を刺す。





そのページは……

「っダメ!!」




必死に手を伸ばすけど、テーブルがあるせいで雑誌に手が届かない。

くぅ〜〜〜〜っ!!!!!



伸びろ!!腕!!









…………無理かぁ。



「なんでダメなんだよ」

眉をつりあげ、不平をもらす蒼。

私はただ、「別に……」とだけ答えて、そっぽをむいた。




静の指指すその先は、私たちの名前の由来がかかれたページで、蒼にだけは絶対読まれたくないページだった。




「……なんでSAMURaiってグループ名になった、のか?」


そんな私の気持ちなんて気にすることもなく、蒼は雑誌をそのまま棒読みする。
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