汚レ唄
その先は読まないで欲しい。
出来れば、記憶から欠片もなくして欲しい。
なのに……。
「そうだよ。お前、なんで俺らがSAMURaiなのか知ってるか?」
なのに、話はどんどん進んでいく。
「続き……読んでみろよ」
蒼が指示された箇所を読んでいる間、なんだか心苦しくなった。
この沈黙が嫌だ。
ドキドキドキドキして、蒼の視線の先を見ては、溜息がでる。
「……これは本当なんですか?」
静かな蒼の声が更にドキドキを早めていく。
「本当だよ。別にかっこつけたくて言ったわけじゃないし。でも、問題はその先……」
言われるがままにその先を少し読み、拓斗に顔を向ける。
「……確か拓斗さんはRYOって名前ですよね?」
「……そうだけど、やっぱなんか恥ずかしいし!!」
拓斗はRYOと呼ばれて身をよじりながら両手で顔を隠している。
乙女な恥じらい方をする拓斗。
こんな姿をファンに見られたら、きっとファンもいなくなっちゃうだろうになぁ。